クールジャパンってどのくらい儲かるんだろう レストラン編

NHKの朝ドラのまれをみてびっくりした。 私はほとんど見ていないので、誤解しているのかもしれないが、ヒロインがケーキ屋を開き、赤字に悩んでいる。損益分岐点(?)が1日8800円くらい。ケーキの単価が400円くらいだったので、1日20個強売れば、黒字なのか?

 というか、ヒロインの人件費、家賃(ただなのか?)店の内装(こちらは融資を受けているっぽいので費用計上しているだろう)などどうしているのか???

 

 あまりの朝ドラのファンタジーっぷりに驚いたわけだが、クールジャパンの支援もこんなもんかもしれない。

 事業としての黒字化というより、売れて知名度があがればよいというもの。

 

ただそれでは、なかなか事業が続かないだろう。では、海外で「日本」ってどのくらい売れるのか?

 

フランスの法律では、フランスの株式会社はすべて商業登記所(Greffe)に財務諸表を提出しなくてはならない(日本の官報公示とおなじようなもの)。違うのは、この商業登記所に登記されたデータが公開されることだ。

企業は非公開とすることもできるし、提出しなくても罰金を受けるだけだ。例えば、有名ブランドのシャネルは公開していない。

 

ただし、公開することにより、金融機関等からの信用を得たり、税務署からの信頼が高まったりすることがあるので、かなりの企業ががんばって公開する。

 

そのおかげでフランスにある企業の売上はかなり把握できる。

詳細はinfogreffe(https://www.infogreffe.fr/societes/)のサイトで調べられたい。

 

さて、その結果、フランスで日本を売る企業の売上ってどうなんだろう?

たとえば初めてミシュランで一つ星を獲得した「あい田」の売上をみると下記のとおりだ

売上 ユーロ

利益 ユーロ

2013

551735

-23299

2012

705948

71093

2011

731808

76975

2010

680388

71130

 

2005年創業で客席20席程度の店 夜のみの営業ということを考えると非常に頑張っている。 利益率が比較的高い。 但し2013年は工事があったためか赤字となっている。

 

また、めいっぱい営業した年で、売上70万ユーロといのは日本円にして1億円程度だ。個人のレストランで年商1億円というのはそれほど悪くはないかもしれないが、社会に対するインパクトというのはさほどでもないだろう。

それでは他の日本料理屋というのはどのような状態なのか

 

パリの老舗うなぎ屋の野田岩

売上

利益

2013年

598,348 €

28,898 €

2012年

552,612 €

23,715 €

2011年

510,651 €

44,500 €

2010年

495,205 €

31,623 €

 

 となっている。 こちらも席数は20席強か。

ランチ営業もしている。客単価はあい田より低いと思われる。

こちらもこの規模で利益を上げているのは立派であるが年商は7000万円前後。

 

オンワードが協力しているそばやの円 こちらは少し客席数は多いはず

売上 利益
2014年 NA NA
2013年 1,674,525 € 34 200 €
2012年 1,674,518 € 50 247 €
2011年 1,558,360 € 18 047 €

 

こちらは売上が160万ユーロ前後となっている。 年商2億-3億円の間。

 

さらに和菓子の虎屋は

売上 利益
2014年 774,758 € 69,089 €
2013年 781,617 € 89,345 €
2012年 801,045 € 137,071 €
2011年 746,730 € 158,894 €

 

とやはり年商1億円前後。 ここ数年は好調と聞いていたが、毎年売上を伸ばすというわけにはいかないようだ 利益が減っているのがとても気になる。

(東京の虎屋カフェの売上と比べてどうなのだろう)

 

こうして並べると、海外で日本食の売上を計上していくことはとても大変であるということがわかる。

店舗があきられないようにするには店舗の改装もしなくてはいけないし、その間休業せざるをえない。

逆説的だが、クールジャパン機構はこのような飲食店を支えるのにはよいのではないか。出資をして、経営安定に寄与し、店舗改装などが安心してできるようにする。

 

もう二度と起きてほしくないが、福島原発風評被害で日本食の売上が落ち込んだとき、緊急融資をするなど役割はありそうだ。

 

ただし、この役割が中小企業金融公庫などとどの程度違うかというと、あまり違いもなかったりするわけだが。