伊勢丹Bonjour Franceについて

クールジャパン政策というのは日本の製品を海外に広めるための政策だ

自国の製品を海外に広めようという政策は世界各国で行っている

今回は5月に伊勢丹で開催されたBonjour France(フランス展)の出展要件について説明しよう

 

伊勢丹のフランス点は毎年5月に開催されているが、主催者は在日フランス商工会議所だ フランスは企業が地元の商工会議所に入会する義務がある 商工会議所は加入率100%の組織だ

 

在日フランス商工会議所は各地の商工会議所に参加を呼びかける

参加料は以下のアキテーヌ地方のHPに公開されている

http://www.aqui-cci-international.com/assets/images/missions/pdf/ISETAN_2015_AgroBiensdeconso40c142e534135fbe743c1af8f44bc9fd.pdf

以下出展料 

補助金がない場合(税抜き)

出展審査料 342ユーロ

伊勢丹が出展の可否を審査 落ちても払わなくてはいけない)

 

出展がOKとなった場合

出展料 

  • インポーターが決まっている場合 2792ユーロ
  • インポーターがいない場合    3892ユーロ
  • 送料(オプション)        500ユーロ
  • ブリーフィング等(オプション) 2500ユーロ

これに対し地元の中小企業は補助を受けることで以下の負担で済む

出展審査料 177ユーロ

出展料

  • インポーターが決まっている場合 1593ユーロ
  • インポーターがいない場合    1993ユーロ
  • 送料(オプション)       250ユーロ
  • ブリーフィング等        1250ユーロ

中小企業への補助率はアキテーヌ地方の場合50% 日本だと補助率が3分の1のときもあるので、この行事の補助率が特段高いということもないと思う

 

日本で事業をやる場合と異なるのは、出展審査料が非常に高いことだ 出展審査を受け落選しても審査料を払うというのは、日本の地方の事業者に対してはなかなか要請できないこと 伊勢丹の審査は結構厳しいらしく落ちる企業も多いとのこと

落選の理由は説明されるらしいので、それはそれで、無駄な挑戦を避けるという意味ではいいのではないか?

 

もう一つ これは伊勢丹の事情にもよるのだと思うが準備期間が長いこと 例年5月の開催に10月から審査を始める 12月には締め切るので、半年の準備期間があるわけだ

この間、個別のインポーターを探すこともできるし、伊勢丹や商工会議所が用意するテンポラリーな輸入事業者を利用することもできる

 

日本は単年度予算なのでどうしても付け焼刃的になりがち(最近は少し改善されたようだが)だが、やはり準備期間は必要だろう

 

また、出展者も非常に多い 伊勢丹が集めたものを含めて100ブランドが出展というのはボリュームを感じる出展だ (海外で100ブランドを集めた日本展ってとても大変だ)

伊勢丹新宿店で「フランスウイーク」開幕 食やファッションなど100以上のブランドが集結 | EVENT | FASHION | WWD JAPAN.COM

 

主要出展ブランドはこちら

SHOPPING | 在日フランス商工会議所

 

 100ブランド集めるということ、商工会議所の補助事業であるということもあり、普通に伊勢丹に出店するよりはかなり「甘い」基準で出展できるようだ

伊勢丹にいかれた人のブログ

フランス展に行ってきました@新宿伊勢丹|ファッション時々PARIS。/あなたのお洒落をワンストップでサポート!バイヤー神崎裕介

 

実際になんだかなあという品物も出展されているのは、どこの国展でも補助事業の宿命かもしれないとさえ思ってしまう

 

なお、地方からの出展が多いのだが、食品の場合は原産地をきちんと表示しているけど、ファッション系のものは、地方のものでも「パリ」って銘打っているものがある

 

リヨン(フランスの織物産地)なのにパリの流行りをとりいれたって

http://www.lyon-s-touch.fr/%E6%97%A5%E6%9C%AC%E8%AA%9E/

 

パリがないと売れないのかなあ

 

というより、このときいいなと思ったのは、地方別にはなってても、地方の説明にそんなに力をいれてないこと

日本の地方の展示を世界に出すと、どうしても地方の説明が多すぎると思うんですよね

海外の人は日本の地方にそんなに興味もたないよ

もっと簡単にしないと

って思います

むしろ「トーキョー」って名前をうまくつかったほうが効果が高い

 

 

 

 

 

ゴルドラックは超えられない

中国で圧倒的に人気のある日本のコンテンツ(映画)は「君よ憤怒の河を渉れ」、中国人が制作したコンテンツで日本にシンパシーのあるのは「狙った恋の落とし方」というのは書いてきたとおりだが、フランスで圧倒的に人気のあるのは、78年にテレビ公開された「UFOロボグレンダイザー」(仏タイトル「ゴルドラック」)である。当時のフランス男児の視聴率が100%といわれた番組だ。

この「ゴルドラック」の人気は本当にすさまじかったらしい。79年1月にはフランスのパリマッチ(一般誌)の表紙にすらなり、子どものいないフランス人もこのブームを知ることとなった。

GOLDORAK DANS PARIS MATCH - Remember-TV

 

フランスで放送されるにあたって、ゴルドラックは、主題歌を吹きかえられている。このフランスの主題歌は複数あり、主題歌をプロデュースしたハイム・サバンによると、全部で380万部売れたという。もっとも売れた、仏人男性歌手ノアムが歌った主題歌は135万枚売れたという。フランスの人口は日本の半分なので、とんでもないヒットだ。

ゴルドラックはまた、フランスには珍しく、キャラクター商品が多数販売されたことでも知られる。なんと、カマンベールチーズにまでなっている。


Goldorak / Camembert Le Conquérant et Coeurmandie - Geekology

 

また、日本では存在しない、「劇場版ゴルドラック」というものまで存在する。

こうしたヒットがどれだけ日本のコンテンツホルダーを潤したかは不明である。(フランスのヒットに見合った収入を売ることができなかったと感じている関係者は多いと推察される)

 

ただ、このゴルドラックの熱狂は、広くフランス人に浸透している。その後、ポケモンNARUTOの人気はあっても、このゴルドラックの時代の熱狂を超えることはない。

そして、ゴルドラックの人気の残滓があったこそ、フランスでその後、日本のマンガやアニメが受け入れられるようになったことは間違いない。

クールジャパンは「アニメ」だけじゃない

東洋経済ONLINEに掲載された

身勝手な日本人が、日本の国宝をダメにする | Books Review | 東洋経済オンライン | 新世代リーダーのためのビジネスサイト

 

が非常に面白い。

日本は文化財に対する投資が少ないことは知られているが、国宝の修理のデータベース化なども遅れている(日本人は、公知の形で知識を共有することがとても苦手な民族だと思う)。

 

観光客にとって魅力的なのは、「電車が遅れないこと」ではない。そのために観光にくる人間はいないということはその通り。

 

(パリなんかストだらけだが、観光客は減らない増えている!!)

 

魅力的な場所を多くつくること、日本は住民にとってはとても便利で楽しいところだと思うが、観光客がわざわざ来るというのは実は苦手のような気がする。

 

京都はそれでもがんばっているが、奈良とかもっと頑張れよと思う。(いやポテンシャルすごいと思うんですよ)

 

 

 

 

「狙った恋の落とし方」って知ってますか?

やまもといちろうと辻元清美というネット民ならなんとも「香ばしい」対談が先日公開されたのだが

辻元清美女史とリベラルの復権その他で対談をしたんですが、話が噛み合いませんでした(山本 一郎) - 個人 - Yahoo!ニュース

 

そのなかで関心したのは、辻元清美が中国人の北海道観光が増えたという理由に「狙った恋の落とし方」をあげていたことだ。

「狙った恋の落とし方」は北海道の方には知名度が高いかもしれないが、一般的にはほとんど知られていない中国映画である。

2008年の正月に中国で公開された映画で、道東が舞台となっている。この映画が中国で大ヒットしたことから、北海道に中国人観光客が押し寄せるようになり、北海道庁やJNTOも中国の旅行社を北海道に招へいしこの動きを盛り上げた。

 

この映画が撮影されたきっかけには、日本政府は関与していないようだが、映画が大ヒット(DVDを含めると1億人が見たという説もあるそうだ。「君よ憤怒の河を渉れ」ほどではないにせよ、レッドクリフを抜くヒットらしい。)したのち、地元の大手企業のニトリが日本の配給権を取得、北海道庁やJNTOも協力した。

このおかけで中国から観光客が増えたとすれば、日本の官民協力も「やればできる子」じゃないかといいたくなる。

残念ながら、現在、中国では日本のコンテンツの放映・放送が制限されており、なかなか日本製コンテンツで日本ブームを作ることは難しい。

 

でも「日本を舞台にした中国映画」であるならどうやら許されるようなのだ。

日本のコンテンツ業界にとっては「面白くない」事実なのかもしれないが、日本の地方の活性化をもたらすのは、日本の地方でロケをした外国映画のほうなのかもしれない。

 

日本の議員さんは日本のコンテンツ業界に遠慮してあまりこの映画の成果を喧伝しないのかもしれないが、「狙った恋の落とし方」は90年代の「LOVE LETTER」をうわまわうる観光効果を生んでいるのである。

 

 

日本のイメージは知っているもので作られる―中国人の高倉健のイメージ

すごい長い間ブログをほっぽってしまった。

その間、クールジャパンは進捗したんだろうか?

一つ明らかに進捗したものがある。外国人観光客の増加だ。外国人の観光客が増えているということは、日本に対する関心が高まっているということだろう。

 

一方、コンテンツの輸出というのはいきつ戻りつのようだ。なかなか思うように、日本のコンテンツがブレイクするということは起こらない。

 

その意味で、クールジャパン政策と外国人の日本のコンテンツに対する関心について考察していくことは、まだ意味があることだと思う。

 

今回は、最近亡くなった高倉健のことである(芸能人なので敬称略で行かせていただく)。高倉健が中国で人気があるということは多くのメディアが報じていた。中国での人気の証拠として挙げられたのは、中国で公開された高倉健主演の「君よ憤怒の河を渉れ」と「単騎、千里を走る。」がともに人気を博したからと報道されていたが、この2つの映画の中国での観客動員数はまるで違う。

何せ、「君よ憤怒の河を渉れ」は最大で10億人が見たというのだ。

http://sucra.saitama-u.ac.jp/modules/xoonips/download.php/SSC-JA2008-01301-015.pdf?file_id=18143

文革直後の文化開放政策にのっとって輸出され、上映されたためで、満員の映画館ではスクリーンの後ろにも人がいたくらいだという。

この映画の観客動員数は、最低3億人から最大10億人というのだが、最低の数であったとしても、この映画は間違いなく、日本映画史上もっとも観客動員をした映画であろう。

高倉健は最大のスターとなったのだ。

チャン・イー・モーもこの映画を見て、高倉健主演の映画を撮影したいと思った。「単騎、千里を走る」は、「君よ憤怒の河を渉れ」がなければ生まれなかった映画なのだ。

 

ところが、「君よ憤怒の河を渉れ」は日本ではそれほどヒットしなかったためか、高倉健の追悼でも多くは触れられなかった。むしろ、チャン・イー・モー監督の「単騎、千里を走る」のほうが文化的香りがするためか、「君よ憤怒の河を渉れ」と並列で紹介されることが多かった。

君よ憤怒の河を渉れ」は中国が文化に対して枯渇しているときに、水のように中国の民衆に溶け込んだ映画なのだ。

 

高倉健が中国で大人気というのは、この映画のおかげである。コンテンツがある国で人気を得るためには、コンテンツの質もさることながら、絶妙なタイミングで公開するという「偶然性」も重要だ。

 

この「偶然性」というのは意外と重要で、フランスやスペイン、イタリアの「グレンダイザー」人気や、アメリカの「パワーレンジャー」人気も偶然性がもたらしたものである。

 

振り返って日本のことを考えると、かつて「小さな恋のメロディ」という英国映画が大ヒットした。この映画は世界のどこでもヒットせず、日本でのみヒットした不思議な映画である。この映画も、日本が外国に対するあこがれが強かった時代の産物であろう。

高倉健の中国人気は、この偶然性がきっかけとなった。もちろん、高倉健の俳優としての魅力もあったろう。しかし、中国人が好きなのは、文化開放という時代のにおいをまとった「君よ憤怒の河を渉れ」なのである。

この事実を正しく把握することが、「日本のコンテンツの力を輸出につなげる」ということなのだと思う。

 

君よ憤怒の河を渉れ」人気について日本政府は掌握できているのであろうか。

 

以降、日本人であまり知られていない、「日本の人気コンテンツ」について書いていきたい。

 

 

経済産業省事業を全部みてみた その1

経済産業省の事業15件を全部みてみた。

予算書によると、この事業は1件あたり5000万円平均だという。国の補助事業としては決して小さくない。

 

ちなみにこの15件、全部読んだ人がいるんだろうか?誤字脱字はもとより、疑義のある数字(11万個や見込みと実績の一致、すべての番組の視聴者数が同じなど)については一度差し戻したほうがいいのではないか?折角、情報が多いのだが、どうも信用できない点が多いのだ。民間企業には民間企業の事情があるし、最初出したものでは公開に耐えられないことも多いだろう。それを指導するのが、国の役目ではないか?

それはさておき、いくつか見えてきたものがある。

○中国など政治関係が難しい国は「Cool Japan」を背負って事業

するのは難しい。今年度は中国対象の事業がなくなったのは学習効果だと思う。

 

以下もう少し書いていきたい。

経済産業省事業をみる その15 タイにおけるコンテンツ等分野プロジェクト

http://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/mono/creative/10tmsm.pdf

 一読しただけでは、何をやったのかがわからないプロジェクトだ。

 どうやら、トヨタ自動車をいろいろなアニメで宣伝したらしい。

 本当にわかりにくい説明なのだ。

 どうやら物販はなかったらしく、そこのこともこの成果をわかりにくくしている。テスト販売ってそれだけで売りにくいところもあるようなので、むやみに売ればいいってもんでもないが、売上がないと成果がよくわからない。

 ただ、このプロジェクト、評価できるのは、トヨタ自動車という大企業が参画していることだ。もしトヨタ自動車が、補助金なしでもこのプロジェクトを続けるというのであれば大成功だし、もし続かないのであれば、トヨタ自動車にその理由をつまびらかにしてもらうことだろう。